第30話  「六道輪廻」と「六度行(ろくどぎょう)」の話

京都や東京の下町に行くと、六地蔵と言う地名をよく見かけます。京都では小野篁(おののたかむら)が平安時代に地蔵堂を造立(ぞうりゅう)し地蔵菩薩を安置してから、各地に地蔵堂が建てられ、その後後白河法皇(ごしらかわほうおう)が平清盛(たいらのき…

第32話 「七度契って(ちぎって)親子となり、三度結びて(むすびて)兄弟と生まる」の話。

「七度契りて(ちぎりて)親子となり、三度結び(むすび)て兄弟と生まる」の意味は「親子・兄弟の縁は何代も遠く前世からの深い因縁によって成り立っている」と訳されています。仏教では、「因縁果報(いんねんかほう)の道理によって、親子は七世の生まれ…

第31話 「地獄極楽はこの世にあり」の話、その二。

「地獄極楽はこの世にあり」と言う諺(ことわざ)があります。その意味は「善行(ぜんぎょう)も悪行(あくぎょう)も因果応報(いんがおうほう)は、死後に行く地獄・極楽の結末を待たずとも、この世で眼の前にはっきり現れる」と訳されています。お釈迦様に向かっ…

第29話 「パワースポット」の話。

最近十年前頃から「パワースポット」と言われる場所や物が世間で流行りだし、日本中に「パワースポット」や「パワーストーン(石)」が流行しました。昔から「パワースポット」は存在しました。ことに京都は平安時代から、有名神社や名刹寺院があり、そこに…

第28話 「勿体無い(もったいない)」と「有難い」の話。

「勿体無い」と、何気なく言っている人が多いようです。 誰でも母親から必ず「もったいない」と何度か叱られた事があると思います。「勿体無い」とは、仏の言葉で、「持つ足りない」がなまって、「もったいない」になったようです。その意味は「物を持ってい…

第27話 お地蔵さんと地蔵盆に思うこと。

昭和四十年代にお地蔵さんブームが起きました。何故ならば子供が言う事を聞かないのは、親が犯してしまった水子の霊の祟りだといわれ、祟りを畏れ(おそれ)て、お寺に水子地蔵を寄進しました。それがきっかけで石材屋(せきざいや)さんとお寺が水子地蔵を大…

第26話 日本のお祭りと盆踊りが無くなってしまう?。

毎年夏は、日本各地でお祭りや盆踊りが盛んに行われています。殊に八月は先祖を供養する盆踊りが行われています。霊魂を癒(いや)し敬(うやま)う行事は世界各国で行われていますが、殊に仏教国では慰霊(いれい)の為の行事が盛んに行われています。日本では…

第25話 「ご当地グルメがやって来た。」

最近の大都市とその周辺のデパートやスーパーのどこかでご当地グルメが開催しています。B級グルメの大会も日本各地で行われています。最近は飽食(ほうしょく)の時代で、回転寿司でラーメンが食べられ、イタリアレストランで日本蕎麦パスタが食べられます…

第24話 「人の振り見て我が振り直せ」の話。

「人の振り見て我が振り直せ」とは、成語大辞苑によりますと「他人の姿や振る舞いを見て、自分の姿や振る舞いを反省し、改めるべきところは改めよということ」と訳されています。 この頃の人達は「人の振り見て我が振り直せ」ではなく、「他の人やるから私も…

第23話 「甲午(きのえうま)〈今年〉」の年は様々な災(わざわ)いのある年。

昔から言い伝えに「甲午の年は、災いが起きる」と言われています。今年は韓国で客船「セウォル号」が沈没して、300人以上の死者行方不明者を出しました。ウクライナ情勢は一つ間違えば「第三次世界大戦になる危険をはらんでいます。更に各国でも紛争が起…

第22話 現代の二宮金次郎(スマホの中毒)

この頃の人達は「二宮尊徳(にのみやそんとく)(金次郎)」と言っても、ほとんどの人達がわからないと思います。辞書の広辞苑によりますと「二宮尊徳は、江戸時代末期相模の国の人で、徹底した実践主義で神・儒・仏の思想により報徳の精神を啓蒙(けいもう…

第21話 「地獄極楽はこの世にあり」の話。

「地獄極楽はこの世にあり」の意味は「善悪の行いの応報は、あの世を待つまでもなく、この世でもはっきりとあらわれる」と広辞苑に訳されています。仏教では、「地獄も極楽も自分の行い次第で見る事が出来る」と言われています。仏教では、「自分を地獄や極…

第20話 「親知らず子知らず」の話。

「親知らず子知らず」とは「険しく危険な山道や、海沿いの道などの険しい難所をさすことば」で、その意味は「あまり道が険しいので、親子でその道を歩く時は、親は子供をかばう事が出来ず、子供は親に頼る事が出来ない、それほど危険の場所を指す」です。こ…

第19話 「馬の耳に念仏」の話。

「馬の耳に念仏」とは、成語大辞苑によりますと「馬にありがたい念仏の声を聞かせても、意味もわからず、喜びもしないように、どんなに理のある意見を説いて聞かせても、聞き流すばかりで効果のないさまをいう」と訳されています。 修学旅行で奈良や京都に行…

第18話 「お水取り」の話。

三月「奈良東大寺二月堂の『お水取り』が終わると春が来る」と、関西の人達は言います。 三月三日に下鴨神社では厄払いの行事「流しびな」がおこなわれ、「これから春が始まる」と京都の人達は装い(よそおい)を新たにします。 去年は春から異常気象がつづ…

第17話 「日日是好日(にちにちこれこうにち)」の話

「日日是好日」とは、「毎日毎日が常に良い日である」とか「毎日が平穏無事の日である」と解釈する人が多くいますが、仏教ものしり小百科には「日日是好日(にちにちこれこうにち)」とは「思慮分別をまったく離れたところに心身を置くと、執着の心が無くな…

第16話 「四字熟語」の話。

日本人は「四字熟語」が好きです。「不撓不屈(ふとうふくつ)」とか「切磋琢磨(せっさたくま)」とか「先手必勝(せんてひっしょう)」とか「栄枯盛衰(えいこせいすい)」とか「馬耳東風(ばじとうふう)」とか様々な熟語があり、その他にも茶道の精神を…

第15話 「お正月の行事と風習」の話。

「お正月」と言う歌に、「凧揚げコマ回し羽根つき」がありますが、最近は殆ど見かけません。お正月の遊びにはカルタ取り、双六、羽根つき、福笑い等がありました。 最近の子供達はスマホゲームが有るので、お正月など関係ないようです。 お正月といえば、お…

第14話 「初詣いろいろ」の話。

「初詣」といえば、昔は正月三が日に神社やお寺に行くことです。最近ではお正月中に神社やお寺にお参りすることを、初詣と言うそうです。初詣のベスト五は平成二十四年の集計では、一位が明治神宮で、二位は成田山新勝寺で三位は川崎大師平間寺で、四位は浅…

第13話 「お彼岸」によせて。

今年の「秋のお彼岸」は土曜、日曜、月曜の三連休です。お彼岸やお盆と言えば若い人達や若い家族の人達はレジャーウイークです。日本人の習性はみんなで渡れば怖くないです。混み混みの高速道路に三十キロ以上の渋滞はなんのその、混み混みのレジャー施設で…

第12話 「お伊勢参り」の話。

平成二十五年は、伊勢神宮(神宮)外宮・内宮を始め伊勢神宮百二十五社の建て替えと、外宮、内宮を二十年毎に遷宮(せんぐう)をする年です。遷宮とは外宮と内宮のそれぞれの敷地内を左右に移動することなのです。 伊勢神宮は天照皇大御神(あまてらすすめお…

第11話 『病は気から』

ことわざに『病は気から』と言うのがあります。意味は「病気は気の病、気のもちようで左右されるものだということ」です。また関連した喩えで、「病は気で勝つ」や「百病は気から起こる」と言うのがあります。 仏教では「気」とは、『天地自然の中に存在し、…

第10話 『祈りを忘れた大人達。祈りを知らない子供達。』

子供は親の背中を見て親に習い大人になると言います。祈りも同じで、信仰心の厚い親には、親孝行な子供が育つと言われています。 私は幼い頃、何時も遊びに行く所は近所のお寺と神社でした。母に手をひかれてお寺の境内で遊びました。お寺には鳩が沢山いて、…

第9話 『年寄りと老人の話』

ある人が言いました「年寄りでも生き方によって違うんだよね。ただ生きているだけの年寄りと、元気で野良仕事をしている年寄りとでは、張りが違うんだよ。ただ生きているよりも、どう生きるかという生き様なんだよね」と言ったのです。 そして更に「若い者で…

第8話 『十二因縁の話によせて』

仏教では前世(産まれて来る前の過去の世)と現世(今生きている世)と来世(産まれ変わってくる未来の世)の三世で分けられているのが十二因縁です。人間は産まれてきたときから現在までのことを過去と言い、今現在のことを現在と言い、年を取っていくこと…

第7話 『続々 十二因縁のお話』

この『十二因縁』はお釈迦様が説かれたものですが、現代科学を神仏のように信じている人達は、お釈迦様が説かれた仏の智慧を知ろうともしませんから、様々な災いに出会い、喜怒哀楽(六道輪廻・ろくどうりんね)を繰り返し、苦しみもがきながら年老いて死ん…

第6話 『続 十二因縁のお話』

『十二因縁』とは、過去世、現世、来世の三世の成り立ちを、御説法の中で示されたものです。「無明(むみょう)、行(ぎょう)、識(しき)、名色(みょうしき)、六入(ろくにゅう)(六処)、触(そく)、受(じゅ)、愛(あい)、取(しゅ)、有(う)、…

第5話 『十二因縁のお話』

『十二因縁(じゅうにいんねん)』は、『十二支縁起(じゅうにしえんぎ)』とも呼ばれています。 お釈迦様は、「人間は過去世」からの宿縁により、この世(此岸)に父母の生を受け産まれて来て、「生老病死の宿命により、あの世(彼岸)へ帰って行き、宿縁に…

第4話 『施餓鬼会』

『施餓鬼会(せがきえ)』の起源は、お釈迦様の十大弟子の一人である阿難尊者(あなんそんじゃ)が、お釈迦様の説法を聞き終わって、その説法を一人静かに樹陰(じゅいん)で三日間想念し、三晩目の夜も更けた時、突然髪の毛を逆立てて身体が痩せこけ、喉は…

第3話 『信、念、行』

最近の日本の人達は、『信、念、行』という言葉を忘れてしまったのかもしれません。 信、念、行とは、人間にとって一番大切な心と行動の事なのです。 辞書には『信』とは、真に通じるものと書かれてあり、「言行にうそ偽りがない事、まことと思い疑わない事…