第32話 「七度契って(ちぎって)親子となり、三度結びて(むすびて)兄弟と生まる」の話。

「七度契りて(ちぎりて)親子となり、三度結び(むすび)て兄弟と生まる」の意味は「親子・兄弟の縁は何代も遠く前世からの深い因縁によって成り立っている」と訳されています。

仏教では、「因縁果報(いんねんかほう)の道理によって、親子は七世の生まれ変わりの中で様々な形で契りを結ぶ」と言われています。「兄弟は前世から三度にわたって縁を結ぶ」と言われ、決して偶然に親子兄弟になったわけではないのです。

仏教では、親子兄弟は前世、過去世(かこせ)にわたり親となり子となり兄弟になり、ある時は睦み(むつみ)、ある過去世では憎しみ、ある前世では助け合い、慈しみ(いつくしみ)そして慕い(したい)死が互いを分けるまで、親子兄弟であったのです。

仏教では、「この「因縁果報」の道理を変える事が出来ない」と説かれています。

最近の現世では、前世など知るわけもなく、場合によっては「勝手に産んだのだ」とか、「貴方の子供などになりたくなかった」とか、「お前なんか産みたくなかった」なんて言う人達が多くなりました。仏教では「七度契りて親子となり、三度結びて兄弟と生まる」の様に変える事が出来ません。しかし祈りによっては、出逢いかたが違ってくる言われています。

昭和十年代までのお父さんお母さんは何人もの子供を育て立派に大人にしました。子供は親の言う事をよく聞きました。前世・過去世の親子も同じでした。

今時のお母さんは、たった一人の子供で育児ノイローゼになる人が多くいます。いまの親子も七世の契りで親子になったのです。

来世にはまた親子兄弟になるのに、諍い(いさかい)ばかりしている親子兄弟。前世に相当憎しみあい、また前世で出逢ってしまったのかも・・・


吉祥寺・昇華山阿羅耶識院本堂の
御本尊の脇侍
身延山久遠寺本堂の愛染明王像の写仏
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