第31話 「地獄極楽はこの世にあり」の話、その二。

「地獄極楽はこの世にあり」と言う諺(ことわざ)があります。その意味は「善行(ぜんぎょう)も悪行(あくぎょう)も因果応報(いんがおうほう)は、死後に行く地獄・極楽の結末を待たずとも、この世で眼の前にはっきり現れる」と訳されています。

お釈迦様に向かって弟子が「人間は死んだら何処(どこ)に行くのですか」と質問したところ、お釈迦様は「人間は死ぬのではなく他の場所に生まれ変わる」と言われ、生まれ変わる場所をも示されたそうです。その中には地獄界の様々な場所や生まれ変わるものまで示されたそうです。それは様々なお経になって示されています。そして様々なお経には死後の世界が書かれたお経もあります。

「地蔵経」や「十王讃歎鈔(じゅうおうさんたんしょう)」や「十三仏のお経」など、人間の死後の世界を説かれたお経は数々あります。

この世には地獄も極楽もあるのです。金持ちにも貧乏人にも地獄も極楽もあります。金持ちにも貧乏人にも地獄も極楽もあります。暮らし方によっては大金持ちでも心の卑しい(いやしい)人が途端(とたん)の苦しみに出逢った時には、その世界は地獄であり、貧乏人でも生き甲斐(がい)を持って生きて居る人はこの世は極楽なのです。

仏教では、「この世には四苦八苦がある」と説かれています。

「四苦八苦」は、「生・老・病・死の四つの苦と、そして愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)、求不得苦(ぐふとくく)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)の四つの苦と、併せて八つの苦」です。人間はこの八つの苦から逃れる事が出来ないと説かれています。この世で「四苦八苦」から逃れられないのですから、せめてくよくよやイライラせずに、カリカリせずに明るく生きれば、この世の地獄から逃れられて、この世の極楽に出会えると思います。


吉祥寺・昇華山阿羅耶識院本堂の
京都・奈良の名刹寺院の仏像(写仏)三十八体の一体
京都醍醐寺普賢延命菩薩
http://www.arayashikiin.jp